長くなるので何回かに分ける。
(1)小さなコミュニティ
世間的にはもう忘れ去られているであろう、犯したのは殺人だったもののさまざまな理由で刑を逃れたあるシングルマザー。
殺した相手は、自分の子供だった。心神喪失状態だったということ、シングルマザーで夜の仕事をし、子供には知的障害があったということで(報道ではふせられていた)彼女の悩み苦しみは相当のもの、と情状酌量がされたのかもしれない。
心療内科に通いながら、彼女はほかにも心の支えを必要として、というよりも警察や周囲には「子供を殺したことを心から悔いている」と反省の態度を示してはいたけれど、本心では自分のしたことが正しかったと信じていて、その気持ちをわかってくれる人、わかって自分を受け入れてくれる人を、さらには「同じ経験をしたママたちはいないか?」探していたようだった。
彼女がたどり着いたのはカルトではないけれど、コノハナサクヤヒメやその他の日本の神々からメッセージを受け取る人やレイキの遠隔ヒーリングをして「カルマを消す」ことができるやら、さまざまな人が集まっている小さなコミュニティだった。
そこにいる人たちの中には、彼女よりも本当は心療内科を受診したほうがよさそうな人もいた。
しかし、本当に霊能力があり、前世を見られる人、ハイヤーセルフでもガーディアンエンジェルでも、名前はとにかくとしてなんらかの能力で「どうしてわかるの?」と驚愕するようなことを言い当てる人もいた。彼らは「本物」だった。
彼女の来訪を皆、静かに受け入れたけれど、子供を殺した経歴は到底受け入れられないという人も多かった。
しかし、「本物」のある2人は彼女が勇気のある、正しい決断をしたと彼女を励ました。