般若心経(1)では元の文章を紹介しましたが、現代語訳は様々あります。その中でも、「超訳 ニーチェ」の著者である白取春彦氏の『超訳般若心経』は、非常に簡潔で美しい言葉が心に響きます。
出典:『日経おとなの OFF (オフ) 2011年 07月号 [雑誌]』より
※一部
服 部 堂「般若心経の超訳」より
出典:『日経おとなの OFF (オフ) 2011年 07月号 [雑誌]』より
■白取春彦(しらとり はるひこ)
ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。 哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある。主な著書に 『ビジネスマンのための「聖書」入門』『勉学術』 『頭がよくなる思考術』(以上、小社)、『考えすぎない思考術 成功体質になる24の習慣』(宝島社)、 『仏教「超」入門』 (PHP文庫)など多数。
※amazon.co.jp「超訳 ニーチェの言葉」著者紹介より
「超訳 般若心経」は『超訳 偉人の言葉』(kindle版あり)に収録。
出典:『日経おとなの OFF (オフ) 2011年 07月号 [雑誌]』より
※一部
=般若心経超訳=
人よ、何を見ているのか。
おまえの眼には、 いったい何が映っているのか。
眼の玉が見たものに脅え、驚き、戦き、 心を騒がせているのか。
それほどのものが見えているとでもいうのか。
(中略)
今のお前はどうだ。
数え切れない悩みを抱いている。
何も正視できず、震えながら眼をそむけている。
多くの怖れ、多くの不安、後悔。
おまえの人生は苦しみに満ちている。
しかし、もう眼をつむるな。
金輪際、顔をそむけるな。
しかと視よ。何がそこにあるか、しっかりと視よ。
何が自分に見えているか、
はっきりと見えるまで見つめ続けよ。
そこに見えているのは人間か。
そこにあるのは物か。
おまえの眼に映るものは何か。
見えているものが
人であろうが物であろうが、
さらによく見つめよ。
それがつまらなく感じられるまで。
他の瑣末なものと
見分けがつかなくなるほどに見つめよ。
それが人か物か
わからなくなるまで見つめよ。
(中略)
見つめれば、もう静かにわかるはずだ。
本当は何もなかったということが。
(中略)
見えるものすべてを
自分のくだらない自尊心の物差しではかっては
勝手に評価や判断をしていたということを。
すべてを自分のものだと思い込む
利欲の根性に染まっていたということを。
つまるところ、
自分が卑しかったということを。
だから、そういう自分のすべてを捨てろ。
気持ちまでも捨てろ。
そうして、
自分というものの
いっさいがっさいを捨て去れ。
ただ、命だけは残しておけ。
すると、
おまえはいまだかつて知らなかった
自由の空に飛ぶことができる。
何をすることもできる。
不可能なことは一つだにない。
すべては可能だ。できないことはない。
ただ、
悪をなせば、
昔の濁った自分がたちまちにして戻ってくる。
まずは悪でないこと、
人が必要としていることを自分でなせ。
人のために、善のために、自分を使え。
それこそが大いなる自由の空を飛ぶことだ。
そのとき、
世界は一変する。
いっさいが澄んだ静けさの中で変わる。
いっさいが静かな歓喜に満たされる。
おまえは初めて、人になる。
服 部 堂「般若心経の超訳」より
出典:『日経おとなの OFF (オフ) 2011年 07月号 [雑誌]』より
■白取春彦(しらとり はるひこ)
ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。 哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある。主な著書に 『ビジネスマンのための「聖書」入門』『勉学術』 『頭がよくなる思考術』(以上、小社)、『考えすぎない思考術 成功体質になる24の習慣』(宝島社)、 『仏教「超」入門』 (PHP文庫)など多数。
※amazon.co.jp「超訳 ニーチェの言葉」著者紹介より
「超訳 般若心経」は『超訳 偉人の言葉』(kindle版あり)に収録。